お遍路10日目となる2013年5月18日の様子です。高知県4日目のこの日は公共交通機関があまりない区間で、一日中ずっと歩き通しでした。
途中、女一人歩き遍路で初めて危険な目に遭いそうになります。
民宿 高知屋を出発
33番雪蹊寺の門前にある民宿高知屋さんで朝ごはんを食べた後、同宿だった定年退職した男性と一緒にこの日の歩き遍路はスタートしました。
その後この定年退職男性を追い抜いたり、追い抜かれたりして声を掛け合いながら34番種間寺までの6㎞ほどを進みました。
この6㎞の道のりは平坦で坂道もなく、比較的歩きやすかったです。
お遍路さんは下の写真のような「納め札」を持ち歩いていて、住所・氏名や願意を記入して88箇所のお寺に納める慣習になっています。
この「納め札」はお遍路さん同士の名刺代わりの役割も果たしていて、前日同宿だった定年退職男性から彼の住所・氏名が書かれた納め札を1枚頂きました。
わたしはお遍路から帰った後お遍路仲間と連絡を取り続けるつもりはなかったので、自分の納め札は渡さなかったと記憶しています。
この辺はお遍路さん各人の自由で、お遍路仲間を作りたい人はいっぱい作ってもいいし、お遍路のことは現実世界に持ち帰りたくない人は現実とお遍路を切り離しても自由なのです。
34番 種間寺
34番種間寺に到着しました。
少し写真が暗いですね。どんよりした曇り空でした。
35番 清瀧寺まで10㎞歩く
さて、今日はここからが35番清瀧寺までが10㎞と長い上に公共交通機関もありません。
なるべく足に負担を掛けないようにマイペースでゆっくり歩いていきます。
途中の公園にあった怖いうさぎの遊具
仁淀川を渡ります。
途中、綺麗にお花が植えられたお遍路さん用の無料休憩小屋があったのでそこで昼ご飯を食べました。
親切を装った下心爺さん
清瀧寺は清瀧山という山の上にあったので最後は少し坂道を登りました。
坂道で一緒になった地元のおじいちゃんが居たのですが、最後の坂を上りながら周辺に生えている植物の名前を教えてくれたり、お寺に着いてからは仏像の説明をしてくれたりして色々面白い話も聞けました。
ただこのおじいちゃん、参拝後に「自分は一人暮らしだから自分の家に泊まれる、今日は自分の家に泊まっていけ」としつこく言い始めました。
前日の宿でお遍路で性被害に遭って人間不信になってしまった女性の話を聞いたばっかりだったので「これはアカンやつや!」とすぐピーンと来ました。
泊まって行け泊まって行けとかなりしつこかったですが、「今日の宿はもう予約してあってキャンセルできない」などとこちらもしつこく言い続けてなんとか逃げてきました。
押しに弱い人だったら押し切られて犯罪に巻き込まれていた可能性も有ると思うので、女性一人のお遍路さんは善意を装った下心には十分気を付けてください。
35番清瀧寺を参拝
話を35番清瀧寺に戻します。
清瀧寺は正式名称を「医王山 清瀧寺」といい、「医」の字が付くとおり薬師如来様をご本尊として祀っています。
上の写真に写っている大きな薬師如来像は人間が中に入ることができ、中は何も見えない暗闇になっています。この薬師如来様の体内を手探りで一周してくることで、病気平癒などのご利益を得ることができるのです。
わたしも真っ暗闇の中を1周してきましたが、本当に視界に何も見えないという日常生活ではあまり体験しない状況を味わうことが出来ました。
本日の宿まで3㎞歩く
さて今日は札所(お寺)は34番、35番の2か所で終わりです。
のんびりと本日の宿、白石屋旅館まで歩いていきます。
清瀧寺から坂を下る時に猫ちゃんがたくさんいました。
今日の宿は土佐市の市街地に取ったため、宿に着くまでの間にパン屋さんに寄って「ぼうしパン」を買ったりしました。写真を撮っていないのですが麦わら帽子のような形をしたパンで、たぶん高知県特有のパンだと思います。
宿の近くのバス停で、翌朝乗る予定のバスの時刻表をチェックします。
白石屋旅館にチェックイン
16時前に白石屋旅館に到着しました。こちらの宿は素泊まりでしたが、土佐市街地なので近くにコンビニもあり、夕飯はそこで買いました。
宿泊したお部屋の名前は「夢」。
この写真からも伝わる通り、白石屋旅館は昭和の古き善き旅館といった風情のお宿。設備も歴史を感じさせるものばかりで、わたしはこの日生まれて初めて二層式洗濯機を回しました。
10日目感想
お遍路は点(お寺)も大事だけど、線(道中)に何を経験するかも大事なんだなーと思いました。
わたしは公共交通機関アリの歩き遍路ですが、すべて完全に歩きで回っている同宿のお遍路さんの話を聞くと、自分より遥かに多くの経験をしていてちょっと羨ましくなりました。
まあ、自分は自分の出来る範囲でいろんな経験をして帰ろう、と思った一日でした。
次回へ続く。