わたしは瀬戸内海が好きだ。あの凪いだ海にポツン、ポツンと島が浮かんでいる感じが好きだ。何時間でもみていられる。
というわけで今回は瀬戸内海の多島美を満喫するべくお盆休みに旅行の予定を入れた。
しかしそこに台風7号が直撃の予報。
当初3泊4日でゆったり回る計画だったのが、1泊2日で台風が来ないうちにとんぼ返りする計画に急遽変更された。
ギリギリまで台風の進路を見守っていたため、計画がしっかり固まったのは出発前夜のことだった。
羽田から岡山桃太郎空港へ
もともとの計画では広島空港へ飛ぶ予定だったが、前夜急遽岡山空港に変更した。
飛行機の予約がギリギリすぎたせいか、クラスJのお子様連れ優先座席が開放されていて取ることができた。
京急を降りてから一番近い保安検査場まで10分ぐらい、自分の目当ての保安検査場までは15分かかった。
朝が早くてボーッとしてたのもあり、AirPods Proをつけたまま金属探知機を通っちゃったんだけど、意外なことにすんなり通れた。あとはネックレスも大丈夫だった。
前は保安検査の荷物からペットボトルを取り出さなきゃいけなかった記憶があるけど、そちらも今回リュックの中に入れっぱなしで問題なかった。いろいろと機器が進化しているのだろう。
朝5時起きだったため、保安検査通過後に朝食を食べようとウロウロするが飲食店は朝7時台はまだ開いていない。仕方なく売店でおにぎりを2個買って食べた。味に期待はしていなかったが、普通においしかった。
搭乗時刻となり、羽田空港を飛び立ち岡山まで約75分のフライト。
機内Wi-Fiが無料だったので繋いでみたが遅く、実用的な速度ではなかった。
ネットワークなしでもできるKindle読書をして過ごす。
岡山桃太郎空港到着後すぐリムジンバス乗り場へ。
先ほど乗ってきたJAL231便からのお客さんを全員待ってからの発車なのか、定刻になってもなかなか発車しない。
この後岡山駅から乗る電車の時刻に間に合うか不安になってくる。
結局バスは10分ほど遅れて発車、岡山駅からの予定していた電車には乗れないことが確定した。
そうなると、船に乗れなくなってくる。
岡山駅から児島駅に移動して、児島観光港から瀬戸大橋観光船に乗る予定なのだ。
バスの中で検索したところ、後続の特急に乗るとギリギリ間に合うかどうか、というところ。
船の出航が11:00のところ、児島駅に09:53着だ。
児島駅から児島観光港まで徒歩5分として、港に09:58着。船に乗せてもらえるかどうか怪しい。
でも、やってみないで諦めるのはもったいない。とりあえずトライしてみよう。
瀬戸大橋観光船
リムジンバスを降りて早足で岡山駅の改札へ向かい、特急しおかぜ7号に乗車。
10:53に児島駅に到着。
早足で駅を出て、観光港に向かいながら船の受付に電話。
「あの、11時の船に乗りたいんですけど!今児島駅に着いて、そちらへ向かってるんです!」
こちらは船に乗りたくて必死である。
「わかりました、何名様ですか?」
「1名です!」
「お名前は?」
「XXです!」
「急いで来てくださいね」
どうやらわたしが到着するまで待ってくれそうな雰囲気だ。
そうと分かればギアチェンジだ。早足から駆け足にスピードアップする。
炎天下の下駆け足で船のチケット売り場に到着したのが10:58。
すでにチケット売り場には係員の影はない。
船を見ると船長さんがタラップを片付けようとしており、今にも出航しそうだ。
とりあえず船に向かって駆け出す。
船長さんに事情を話して、船を降りてから代金を払うことにして乗せてもらうことができた。
一番前の座席が空いていたのでそこに腰を下ろしたのが10:59。
ギリギリ間に合ったのだ。他のお客様を待たせたりしなくて本当に良かった。
11時、船が出航する。驚いたのだが、ドアも窓も全て開けっぱなしでの出航だった。
船が古すぎてエアコンがないのだ。
最近の酷暑で大丈夫かと思ったが、船が常に動いているため外からの風が入り続けて、意外と快適に過ごせた。
また、ドアが開けっぱなしのため船の足元に立つ白波を間近に眺めつつ、瀬戸内海の島々や瀬戸大橋を鑑賞できて非常に良かった。
船内は自動音声で瀬戸大橋やその土台となっている島々について解説してくれる。
その中に瀬戸大橋の建設がいかに大変だったかを語るパートがあったのだが「その年の夏は猛暑で、最高気温が30度にもなる日があり、作業員は…」みたいなくだりがあって笑ってしまった。確かに昭和63年あたりといえば、30度が猛暑だった時代だったのだろう。
台風が接近しているが、瀬戸内海は波もなく快晴で、この観光船に乗れただけでも「あー!来て良かった!」と思えた。
瀬戸内海を満喫して港へ戻り、窓口へ行って遅ればせながら1,550円を支払う。
船がレトロでとても良かったので、いつ頃建造された船なのか聞いてみたところ瀬戸大橋ができる前、つまり昭和63年よりも前の建造らしい。
岡山駅で昼食
児島観光港を出て児島駅まで戻る。
行きは必死だったので気にならなかったが、太陽が上から照りつけていてかなり暑い。日傘を持ってきて正解だった。
児島駅から岡山駅までマリンライナーに乗り、岡山駅で昼食。
岡山の地のものが食べたいので駅ビル「さんすて」にある「吾妻寿司」に決めていた。
到着すると前に3〜4組並んでいたが、名前を記入して待つこと10分ほどで入店できた。
旅行の下調べの段階では岡山名物の「ばら寿司」を注文しようと思っていたが、現地でメニューを見て「岡山地物入十二貫」に変更した。
岡山の地物はサワラ、ママカリ、黄ニラ、タコ、シャコの5貫が入っていた。
どれも美味しかったが、中でも黄ニラはびっくりした。
ずっと海産物を食べていたので、突然の野菜のお寿司に口がびっくりした感じ。「うわ、めっちゃニラやん!」って笑ってしまった。
地物以外の、鯛やまぐろなどのお寿司も美味しかった。味噌汁だけは赤だしメインだったのか自分の口には合わなかった。(でも全部飲んだ)
岡山駅から尾道駅へ
お寿司を食べた後、さんすてのお土産物売り場を少し見てから駅へ。
次は尾道駅から観光列車に乗りたいので、福山まで新幹線のきっぷを買おうとしたらきっぷ売り場が大行列。
こりゃダメだ、とスマホを開いてJR西日本のe5489サイトからきっぷを予約。
e5489の受け取り専用機なら、並ばずに発券することができた。
岡山駅の新幹線ホームで自分の足を見て、児島駅から観光港まで走った際、両足に水ぶくれが出来てしまったことに気づいた。8年履いた、足に馴染んでるサンダルだがそういえば走るのは初めてだった。広島駅に着いたらキズパワーパッドを買わなければ。
岡山駅から福山駅まで新幹線で1駅移動し、福山駅からは山陽本線の普通電車糸崎行きで尾道駅まで向かう。
観光列車「etSETOra(エトセトラ)」乗車
尾道駅から広島駅までは観光列車「エトセトラ」に乗車する。
ちなみにこの列車に乗ろう!と思い立ったのは昨日の夜の話である。
海側の座席は全部売り切れだったが、奇跡的に山側の座席が1つ取れたので乗りに来た。
瀬戸内海を眺めながら乗れる観光列車ということで、ホームページを見る限り「大したことなさそうだな」って感じだったけど、なかなか良かった。
海のすぐ近くを走る絶景ポイントではスピードを落として走行してくれる。
バーカウンターでの飲食は楽しいし、実質酒盛り列車のような雰囲気だ。
お酒は飲めないので島ごごろレモンサイダーと牡蠣のオリーブオイル漬けを頼んだ。
牡蠣は2〜3人分とのこと。1人旅だとコレが困るが、別に1人でぜんぶたいらげれば良い話である。
酒は飲めないが、酒のつまみは大好きなので全く問題ない。美味しくいただいた。
Googleマップを見ながら、線路が海に近づくたびに山側の座席を離れて窓側に行って瀬戸内海の風景を堪能した。
瀬戸内海が好きすぎて瀬戸内海に住んでみたいな、と思った。移住しないまでも1ヶ月ぐらい住んで「もう多島美は飽きたわ〜」とか言ってみたい。
途中海が見えない区間ではアテンダントの方がパネルを持って記念撮影をしに回ってくれるなど、退屈させない工夫もあった。
とはいえ、最後広島に着くあたりはただ鈍行列車に乗ってるだけ状態で、正直しんどかった。駅での待ち時間も結構あるし、車窓からの風景は瀬戸内海じゃなくて普通の都会の街並みになっちゃうし。
最後の方はもうずっと本を読んで時間を潰していた。
そこはやっぱり乗車券にプラス1,000円で乗れる破格のお値段なので仕方ないのだろう。
アパホテル広島駅前泊
列車は定刻通り17:35広島駅に到着した。
疲れた体を引きずってまずはドラッグストア探し。靴擦れにキズパワーパッドを貼らなければならない。
駅ビル1階にマツキヨを発見して無事確保。
お土産屋さんも見たかったが、ひどい人混みだったのでちょっと覗いてすぐ退散した。
あとは今日の夕食だ。
カキフライが食べたかったので、事前に調べていた駅ビル内の店を見に行ったが、店頭のメニュー冊子を見てもどこにもカキフライがない。どうやらランチタイムのみの提供のようだ。
仕方なく駅ビルの惣菜店や駅を出て福屋デパートの地下などを見てみるが、食べたいと思うものがない。
朝5時起きで行動し続けた結果、過度の疲労で食欲が雲散霧消してしまったのだ。
結局ホテル近くのローソンでピノとじゃがりこを買って夕食代わりにした。
人間、本当に疲れ切った時は甘いものぐらいしか口に入らなくなるらしい。
疲れた足を引きずって本日のお宿、アパホテル広島駅前へ。
入る前からどんよりと暗い外観にギョッとする。
一歩足を踏み入れるとロビーがなぜかタバコ臭い。
「場末のアパホテル」という表現がしっくり来る感じだ。
先行き不安になりつつもチェックインを済ませ、2階の客室へ。
2階は禁煙フロアとのことで、ロビーと違ってタバコの匂いはしなくて安心した。
部屋は幹線道路に近く、大きな車両が通る時はそれなりに音が気になる。
また飲み屋街が近いため、酔っ払いの声も聞こえてくる。
まさに場末のアパホテルだ。
ただ、風呂とベッドは快適で、耳栓さえしてしまえば問題なく体を休められたのは不幸中の幸いであった。
なぜこんな場末のアパホテルを選んだのか疑問に思う方もいるかもしれない。
理由はただ一つ、朝食バイキングで朝からアパ社長カレーを食べられるから選んだのだ。
とはいえ朝からそんなにガッツリは食べられないのでお茶碗にミニカレーを作って頂いた。
ほかに広島の魚カツ「がんす」や広島菜など、地のものもいただくことができた。
しかし朝からそんなガッツリ食べられないので全然元が取れてない。朝食つきプランが向いてない胃袋をしている。
路面電車で港まで
場末の朝食バイキング会場を後にし、向かうは広島駅前の路面電車乗り場。
今日も船に乗るため、広島港(宇品港)へ向かう。
朝の広電は地元の人と観光客で混んでいて始め座れなかったが、途中から座ることができた。
広島港からSEA SPICA乗船
今回の旅はこれがメインと言っても過言ではない。
この「シースピカ」は旅行前夜に突然決めた旅程ではなく、7月から予約して楽しみにしていた観光船である。
8:10ごろ広島港に着き「瀬戸内しまたびライン」の受付で乗船券や座席表などを受け取る。
8:20ごろには乗船案内が始まり、船へと向かう。
乗船前に船をバックにパネルを持って記念撮影をしてくれるので列ができていた。
ほとんどが家族連れだったが、臆面もなく記念撮影の列に並ぶ一人旅のわたくし。
もし自分以外の一人旅の人がこの写真を撮ってもらってるのを見たら「あの人心臓つえーな…」と思うだろう。
船は8:30に広島港を出港。
このシースピカは先般5月に広島でG7サミットが開かれた際に各国首脳が乗ったことでも知られている船だ。
自動音声案内ではなく、女性のアテンダントの方がマイク越しに船からの見どころを解説してくれる。
海上自衛隊(呉)
最初の見どころは呉の海上自衛隊だ。
1階客室から2階のデッキに出て、自衛隊の船や潜水艦などを間近に見学する。
ガイドさんが「あの船の名前は何で、どういう用途で」というのを全部説明してくれるのが助かる。
音戸の瀬戸
次の見どころは音戸の瀬戸。
船に乗る前はすごく見てみたかった場所だが、実際に見てみると橋が2本かかっているだけで、あまり感動はなかった。
下蒲刈島
最初に船から降りて観光できるのは下蒲刈島(しもかまがりじま)だ。
朝鮮通信使関連の展示があるという「松濤園」のチケットをもらっていたのだが、松濤園まで徒歩10分とのこと。
昨日の疲れも残ってるし、足には靴擦れ、天候は晴れて暑い。
ここはこの後の旅程で歩く分の体力を温存することにした。
松濤園までは行かず、島の街並みをカメラに収める程度にして早々に港に戻ってきた。
街並みは、レトロなものがたくさんあってとても良かった。
港近くで売りに出されている古い家なんかもあって、こういうのを買って千葉と瀬戸内海で2拠点生活ってのも老後に良さそうだな〜、と思ったりした。
港へ戻ると、船の客に地元の特産品を売るために来ていた下蒲刈島のおばちゃん2人が「まあ座りんさい」とテントの下の椅子を勧めてくる。
とにかく暑かったのでテントで売っているレモンスカッシュを300円で購入した。
島で取れたレモン、それも木から取ってきたばかりのレモンだそうで、レモンごと食べられるよ、と言われた。
テントの下で座って休みながらおばちゃん2人と、もう1人松濤園に行かなかったおじいちゃんと雑談。
2人のうち、上沼恵美子に似ているおばちゃんのほうはまぁ良く喋る。
最近は高齢者の一人旅が多いが、シースピカで下蒲刈島に来た高齢のおひとり様が集合時間になっても船に戻ってこない。
船の係員や地元の人が探しても見つからない。
結局その人は熱中症で倒れて緊急搬送されていたらしい。それも下蒲刈島とは別の島まで。
その件があって以降、シースピカの運営会社は80歳以上の一人旅は断るようにしているのだそうだ。
また、別のお年寄りは船に戻る際、時間ギリギリで焦ったのか港で転倒、こちらも大騒ぎになったそうだ。
レモンスカッシュを飲みきり、中のレモンまで完食して、特産品として売ってた「たこカマ」(200円)まで買って船に戻る。
ふたたび出航し、ガイドさんが「今見えている大崎上島はIターンなどの移住者も多く…」と言うのを聞いて思わずスマホに「大崎上島」とメモをとる。
大久野島
次の寄港地は大久野島。通称うさぎ島だ。
ウサチャンとの触れ合いを大変楽しみにしていたが、事前に船内でガイドさんが「暑いのであまりうさぎがいないかもしれません」とか「島に泊まっている人がエサをあげ尽くしてしまって、うさぎ達はすでにお腹いっぱいかもしれません」とか事前情報を教えてくれたおかげで、過度な期待をせずに済んだ。
実際、大久野島には外に出ているウサギはほとんどいなかった。暑さを避けて巣穴にこもっていたのだろう。たまに木陰など外に出ているウサギがいると、そこに人が寄っていくという感じだ。前情報通りエサの食いつきも悪く、食べるより昼寝をしたい、という感じだった。
生口島(瀬戸田港)
うさぎ島を後にして、わたしの下船地である生口島の瀬戸田港まで。
船全体で35人が乗船していたのだが、瀬戸田港では7人が下船した。
生口島でたこ料理のフルコースを食べるプランで予約していたため、本日の昼食地である「ちどり」へ。
瀬戸田港に降りた直後から雨がポツポツと降り始めたため、傘をさして向かう。
お昼時の人気店とあって並んでいたが、予約があったため並ばず入店できた。
メニューも「蛸フルコース」と決まっていたため、料理もすぐ出てきた。
朝アパ社長カレーを食べたきりだった胃に生の蛸刺しが染み渡る。
タコの刺身は、ワサビを付けてしまうとたこわさ味になってしまうことに気付き、途中から醤油だけで食べた。
蛸刺し、蛸酢、たこわさ、タコの塩辛、たこめし、タコの天ぷら、タコの唐揚げと次々運ばれてくるタコ料理に舌鼓。
「もう一生分のタコ食ったわ」と感じてきた頃にフィニッシュ。
「ちどり」を出る頃には雨も止んでいてラッキーだった。
しおまち商店街
パンフレットなどには「ちどり」の近くにある「耕三寺」というお寺がおすすめスポットとして紹介されていたが、世界の有名建築の模倣など明らかに悪趣味な感じがしたので中には入らず、そのまましおまち商店街を散歩。
このしおまち商店街も行く前から期待が高かった場所だが、期待どおりレトロなものがいっぱいある商店街だった。
途中の土産店「富士本舗」でツアー特典のレモネードを引き換えたりしつつ、写真を撮りながらゆっくり瀬戸田港まで戻って行った。
スマホだけでなく、フィルムのインスタントカメラ「写ルンです」でもレトロな街並みを撮影したので現像が楽しみだ。
瀬戸田港から尾道へ向かう船が出るまでまだ時間があったため、港の前にある「しまなみロマン」という店でジェラートを食べた。
味が4種類選べたのだが、柑橘系ではなく「伯方の塩」味を選んだ。塩スイーツに目がないのだ。
注文して受け取ってから気づいてしまったのだが、残念なことに人工着色料(青)が使われていた。
普段は避けているのだが、うっすらと色づく程度にしか使われていなかったし、せっかくなので食べることにした。
そのほかにも、さっき「富士本舗」で受け取ったレモネードにも人工甘味料が入っていたりして、普段体調を崩すから食べないようにしているものを結構摂取してしまった。
瀬戸田から尾道へ
15時になり、瀬戸田から尾道への船が出航した。
天気は曇りだし、疲れていることもあり車窓からの風景を楽しむでもなくひたすら本を読んでいた。
こういう時、乗り物の中でも眠れる体質だと便利だがあいにく眠れないタイプの人間なので、セカンドベストの策として「あまり難しくない本を読む」というのが一番体力・気力を消耗しなくて済む。
尾道 海岸通りと尾道本通り商店街
尾道は向こう側にある島(向島)との距離が近すぎるため「瀬戸内海!」って感じではなかった。
とりあえず海沿いを歩いて、行ってみたかった「藤井制帽 小売部」へ。
いい帽子があれば買いたかったのだが、どれを試着してもピンとこなかったので購入は見送り。
そのまま尾道本通商店街へ移動する。
ここがまた古いものが残っている商店街で、わたしの好みにクリーンヒットだった。
旅行2日目でめちゃくちゃ疲れ切ってたんだけど、この商店街でちょっと元気を取り戻すことができた。
帰路
尾道駅に戻ってお土産屋さんをちょっと見て、帰りの切符を発券してまずは山陽本線で福山駅まで。
福山駅で夕飯用のお弁当を買い込んで、のぞみ104号に乗って東京まで。
福山から新大阪あたりまでは混んでいてカオスだったが、それ以降は割と落ち着いた客層で東京まで移動できた。
お弁当を食べる以外はひたすら読書して過ごした。
今回の旅行中に読もうと思って用意していたのが辻村深月の「島はぼくらと」だ。
瀬戸内海を舞台にした小説を探していた時、この本は架空の島を舞台にした小説だと説明されていて、そこが気に入って購入した。
ちょうど帰りの新幹線で読み終わったのだが席でダバダバ泣いてしまった。涙腺が弱い人間は家以外で小説を読むべきではないのだ。
乗車時間が長すぎて静岡県あたりからは寒くなってしまい、毛布を借りてカーディガンのように羽織っていた。
この時期に上着が欲しくなることなんてないので油断して羽織るものを持っていかなかったのだ。
地元に着いたのは夜遅くになってしまった。
普段は21時半には就寝しているのに、家に着いたのが22時過ぎだ。
普段はわたしが帰ってきてもしっぽすら振らない愛犬が、さすがに2日間離れていたからなのかしっぽを振って出迎えてくれる。
特定のゲームを過度にやりつづけると、目を閉じても瞼の裏にそのゲームの画面が浮かぶことがある。
今のわたしは、目を閉じると船で瀬戸内海を走っている時の穏やかな海面の様子が浮かんでくる。
今夜はよく眠れそうだ。