ここ数年のわたしは、なるべくシンプルでベーシックな服を選ぶようにしています。
ある日Twitterのタイムラインにこの本「おしゃれ嫌い 私たちがユニクロを選ぶ本当の理由」の新刊情報がたまたま流れてきて、ちょっと興味を持ったのでKindleで購入して読むことにしました。
どんな内容の本なのか
この本はユニクロがいかにして「着てるとちょっと恥ずかしいブランド」から「オシャレな人も選ぶベーシックブランド」へと変化を遂げたのかが書いてあります。
第1章なんかはほとんどユニクロ賛歌って感じで若干気持ち悪いんですが、全体を通して読むとまあまあ公平な目線でユニクロを論じているんじゃないかと感じました。
「へぇ〜」と思った部分
ユニクロの服は部品である
ユニクロの服はあくまでファッションの部品として作られているのだそうです。
なるほど、日曜大工に例えるなら色んな種類のネジとか木板がたくさん売ってる店、みたいな感じで利用すればいいんですね。
逆に考えると、自分がどんなファッションをしたいのかが定まってない人がユニクロに行ってしまうと、多すぎる部品から適切なものを選べなくなってしまい、かえって難易度が高いのかもしれないと思いました。
わたしの場合は「シンプルでベーシックな服で揃える」と決めているので、その基準に沿うものをユニクロから探す、という利用法が良さそうです。
ユニクロは昔と違ってダサいブランドではない
わたしの世代は、電車の中とかで他の人とユニクロの服がお揃いになってしまう「ユニクロ被り」を極端に嫌っていた世代です。
ユニクロ=人と被るからダサい、みたいな気持ちをどうしても最近まで捨てられずにいました。
ところがこの本の内容によれば、近年のユニクロは著名デザイナーとのコラボなども積極的におこない、以前のような「ダサい」イメージからは完全に脱却したというのです。
たしかに、服のデザインが昔と比べて垢抜けたような印象はありますし、女性誌のファッションコーナーにも普通に「部品」としてユニクロの服が登場するようになってきていると感じます。
実感を伴って深く納得したので、ユニクロに対する古い認識をアップデートしよう!と決意しました。
ファッションよりもライフスタイル優先の時代
80〜90年代がブランド服で自分らしさをアピールする時代だったのに対し、00〜10年代、特に2011年の東日本大震災以降は「おしゃれを頑張る」のは流行らなくなりました。
2011年以降はライフスタイルの一環としてのファッション、もっと具体的にいうと「ていねいな暮らし」の流行の一環として
・倫理的に正しいファッション(フェアトレード、ファー不使用など)
・頑張らなくてもいいおしゃれ
・健康、ヘルシー志向(運動できる服)
が主流となったのです。
その結果、なるべく少ない服を着まわすのがカッコいいという風潮や、洋服を買うのではなく洋服を断捨離するのがクールだ、という「ライフスタイルがメイン」になっていきました。
その時代の潮流の変化にうまく乗ったのがユニクロだった、というわけです。
10年代後半になって女性ファッション誌が着まわしコーデ特集に普通にユニクロ服を混ぜてくるようになったのも、当然の流れというわけです。
おわりに
ファッション関連の本は普段そんなに読まないのですが、この本は読んでよかったと思います。
ちなみにこの本を読んだあと、さっそくショッピングモールのユニクロに行ってきました。
わたしが必要としていた「部品」である冬物のウールのカーディガンを購入して帰路へ。
「ユニクロ被り」や「ユニバレ」は最早恥ずかしいことではない、と認識を改めたはずなのに、家に帰ってわたしが最初にやったことは襟元のユニクロタグを外すことでした。
一度染み付いてしまった価値観を覆すことはそう簡単ではないようです。