フードトラップというセンセーショナルな題名のこの本を知ったきっかけは、勝間和代さんがYouTube動画でやっていたブックレビューでした。
食事と睡眠と運動を軸として健康を手に入れたいと願うわたしは是非読んでみたいと思ってKindleで購入しました。
どんな内容の本なのか
この本では、アメリカ食品業界の歴史に沿ってなぜ糖分や脂肪分、塩や食品添加物がこんなに大量に使われるようになったかを説明しています。
第二次世界大戦終了後、女性の社会進出が進み、より手軽に食べられる加工食品のシェアが急増したこと、糖分や食品添加物の過剰使用について食品業界が立ち止まって考える転機は何度もあったが、その都度利益優先の考え方に押されて自主規制には至らなかったことなどが、筆者独自の細かい取材により克明に記されています。
筆者が取材をおこなった相手はアメリカ内外の大手食品会社の元幹部で今は内部告発者となった人など、何人もの人に詳細に取材をしており、その内容が紙の本換算で524ページにもわたって書かれているのです。
情報量も多く、大変読み応えがあります。
「へぇ〜」と思った部分
筆者による加工食品会社の幹部や元社員、それに科学者らへの多岐に渡るインタビューにより、加工食品の歴史と実態が詳細に記述されていますが、脂肪にしろ砂糖にしろ塩にしろ、全て同じパターンが繰り返されてきた歴史であることが読み取れます。
そのパターンは簡単に書くと以下の通りです。
健康への懸念が発表される→政府による規制が検討されはじめる→ロビイストなどのよる妨害工作→妨害工作がうまくいかなかった場合は規制勧告→砂糖/脂肪/塩分を減らす→売上が落ちる→投資家から苦情が出る→元に戻す→あらゆるマーケティング手段を用いて売りまくる
これの果てしない繰り返しが加工食品産業の歴史、そして現在です。
読めば読むほどあきれ返るというか、加工食品なんて食べたくないという気持ちが強まります。
基本的に工場で大量生産される食べ物は食べ物ではなく工業製品なのだと考えた方が良さそうです。
ただ、生鮮食品だけを食べ続けて生きていくのも現実的に考えると困難。
どこかで気持ちに折り合いをつけて、加工食品と慎重に付き合っていこうと思いました。
ショッキングだった部分
この本は全体的にショッキングな内容が続きますが、中でもわたしがショックを受けたのは塩に関する章です。
今まで、糖分は脳の報酬系を刺激してよくない、ということは理解していました。脂肪もなんとなく体に悪いんだろうな、ぐらいの認識はありました。
でもわたしはしょっぱいものが大好き。塩なしでは生活できません。
なんと、塩を食べた時も脳内では砂糖の時と同じような報酬系が活発になり、もっと塩をくれ、と依存のような状態を作り出すことが最近の研究で明らかになっているのだそうです。
これはショッキングな事実でした。砂糖には依存性があるからなるべく砂糖を避ける生活をしてきましたが、この本によれば脂肪も塩も依存性があるということになります。
脂肪と塩に対してどのように距離を置くか。これはすぐには結論を出せないのでじっくり考えたい事柄です。
おわりに
生鮮食品が主流だった戦後は加工食品が中流階級の象徴であり憧れの的でした。
ところが現代では加工食品に対する憧れはありません。むしろ食に対する意識が高い層ほど加工食品離れして、生鮮食品への回帰を強めています。
加工食品の歴史と現状は「ひどい」のひと言に尽きます。売れれば何でもいい、消費者の健康なんて知ったことじゃないんです。(一応健康を気遣うような素振りを見せることもありますが)
今日から自分でできる自衛としては加工食品はなるべく食べない、これしかないと思います。
外食の日は仕方ないにしても、家でご飯を作るときは加工食品を極力避けるようにしたいと思います。