2010年2月、真冬の軍艦島上陸大作戦

2010年2月、真冬の軍艦島上陸大作戦

軍艦島行きの船を予約

熊本から福岡への移動の途中で長崎に寄ろうというのはだいぶ前から計画していたものの、軍艦島に行くという考えは長崎行きの2週間前ぐらいまで思い浮かばず、慌てて軍艦島クルーズのサイトに行ってみたものの当然満席で一度は諦めてたんです。でもそこから毎日諦めずに空席が出ないかチェックしてたら、1/29になって2席空きが出たのですかさず予約。急遽熊本で1泊の予定を長崎で1泊に変更するなど慌しく諸々の手配を済ませて行って来ました軍艦島。

熊本から長崎へ。リレーつばめのDXグリーン席に座る

熊本でのライブ終了後、まずは21:23発のリレーつばめ66号で鳥栖まで。
リレーつばめでは、1編成に3席しかない「DXグリーン席」に乗ってきました。
この席を買いに行ったのも乗車の1週間前だったから「もう空いてないだろうな~」と半ばダメ元でみどりの窓口に行ったら思いがけず希望通りの席が空いていた、という何とも嬉しい事態。九州の電車なんて滅多に乗れないんだから、多少お金がかかっても乗りたい列車の乗りたい席に乗りたいです。

リレーつばめ DXグリーン車

リレーつばめ車内

リレーつばめ DXグリーン席

デラックスグリーン席。フルリクライニング+足置きでほぼ布団で寝てる状態を再現できる。1席にコンセントが2つついてるのもポイント高い。

鳥栖で22:29発かもめ51号に乗り換え。
かもめは2号車が全席コンセント付きとのことで2号車の指定券を事前に購入しておりました。
リレーつばめとかもめの乗車中はイーモバイルの電波が微弱でなかなか寂しい感じでした。(ネット中毒乙)

かもめ 内装

かもめの内装は割と何がしたいのかわからない感じ

長崎に到着

23:55に長崎駅に着いて、そのままホテルにチェックイン。
安さで選んだ「アパホテル長崎駅南」(4500円)ですが、運良く長崎港側の部屋を割り当てられたので窓から夜景を楽しむことが出来ました。

長崎アパホテル夜景

ホテルの窓から夜の長崎港

いざ軍艦島へ

翌朝7時に起きて行動開始。

朝の長崎港

朝の長崎港をホテルの部屋から。

チンチン電車で長崎駅まで戻って、県営バスターミナルで「長崎スマートカード」をゲットして、再度長崎港へ戻る…はずが持ち前の電車乗り間違いスキルを遺憾なく発揮してしまい全然違うところに到着。慌てて港に戻った時には既に乗船手続きが始まっていました…。

長崎スマートカード

長崎スマートカード(初期発売額3000円)。3万円まで積み増しできるのに驚いたけど、坂道が多く公共交通機関が県民の足である長崎のお国柄を反映してのことではないか、という友達の分析を聞いて納得。

軍艦島クルーズ乗船券

乗船券など(乗船料4,000円+長崎市施設使用料300円)

雨は降らなかったもののずっしりとした曇天で、天候や波如何によっては上陸は出来ないという事前告知が散々されていたので上陸できるかドキドキしながら乗船。

世代的に石炭が主要エネルギーだった時代を教科書の上でしか知らないので、炭鉱っていうのがどういう場所なのかすごく興味があったし、労働基準法の勉強をしていたときに坑内労働に関する記述がすごく厚かったのを見て「炭鉱っていうのは本当に日本の重要な産業の一つだったんだなー」と思っていたので、炭鉱跡を見るという経験を今回どうしてもしてみたかったんです。

軍艦島クルーズ出航

定刻の9時を少し過ぎて船が出航。

長崎港内に停泊している色々な船をガイドさんが解説してくれたのが興味深かったです。灰色のイージス艦とか、海底に光ケーブルを引くための特殊船とか、乗用車6000台を一気に運べる専用船だとか。色んな船を見つつ、女神大橋の下をくぐって港の外へ。隠れキリシタンが弾圧を逃れて移り住んだ島などを見ながら進むとやがて視界には水平線が。そこから更にしばらく進むと高島、その先に軍艦島が見えてきました。

軍艦島は他の島々とは放つオーラが全然違っていて、遠くから目に入った瞬間にもう目が釘付けになりました。
軍艦島に船が近づくと、桟橋付近は結構波があって1回目の接岸は失敗。一度船を旋回させて2回目のチャレンジで接岸に成功、無事上陸できる運びとなりました。

桟橋から整備された通路を通って広場に集合したんだけど、とにかく風が強くて寒い!2月に軍艦島に行く予定の方は相当な防寒装備をして行ったほうがいいと思います…。

2010年2月7日、軍艦島上陸

軍艦島上陸

曇天と相まってすごい迫力

広場からは3班に分かれてガイドさんの説明を聞きながら見て回るんだけど、とにかく興味深い話ばかりでした。洗濯は海水だったとか、当時は建築基準法が出来る前だったから無茶な建て増しができたとか。(でも、建築基準法がなかったから今よりも鉄筋の数は多くて、そのお陰で今も建物が残っているんだとか。)

見学通路を歩いていて「見晴らしがよくないな」と思っていたらその点についても解説があって、台風が来ると波で島全体が覆われてしまうことがあったから島を取り巻く防波堤の高さがすごく高く作られているのだとか。

軍艦島 マンション

この建物の存在感は怖かった

電気のことが気になってガイドさん(おじいちゃん)に訊いてみたら、最初は島内で石炭で発電していたんだけど、島が発展するにつれて電力が足りなくなってきて隣の高島からも送電してもらうようになったのだとか。現在島に唯一ある灯台は何で動いているのか聞いてみたら、ソーラー発電で稼動しているそう。(確かに灯台の足元にソーラーパネルが見えました。)

軍艦島からの帰りの船、大量のイルカがお見送り!

帰りの船に乗り込んで、船が島を離れた直後ぐらいから晴れて青空が覗き始めました。
船はガイドさんの説明付きで軍艦島の周りを一周してから島を後にしたのですが、最後に軍艦島の全景を船窓から眺めている時に海面にイルカの群れが!あんなたくさんのイルカ、初めて見ました。軍艦島の桟橋の名前も「ドルフィン桟橋」だったし、あの辺の海にはイルカがいっぱい住んでるのかな。軍艦島を背景に海にイルカの背中が浮かんでは消える、あの絵面は強烈でした。ホントやられた。

船から見た軍艦島全景

帰りの船から見た軍艦島全景

軍艦島の建物はどれも崩れかかっていて、人間の作ったもの VS 35年にわたる大自然の力、みたいなものを感じました。朽ちそうで朽ちない、でもいつかは朽ちるのかな、っていう。

軍艦島 廃墟

軍艦島

帰りの船ではボランティアガイドさんの隣だったので、個人的に興味のあったライフライン関連の話を色々聞いちゃいました。真水は貯水船で運んでいたとか、炊事は最初は薪でやってたけど後期にはガスも使っていたとか。

今日の波の高さだと本当は上陸はギリギリアウトだったんだけど船長さんが頑張ってくれたそうで。「2月に上陸できるなんて奇跡だ」ぐらいのことをガイドさんおっしゃってました。上陸できてよかったー…。

当時も行商の船とかが波が高くて接岸できない日が多くて、それでも島の主要な娯楽だった映画のリールだけをなんとか船から島に上げたりしていたんだとか。

前日長崎駅に降り立った時にはサッパリ聞き取れなかった長崎弁も、ガイドさんとお話しているうちに段々特徴が掴めてきました。動詞の最後の「る」が「っ」に変化してることが多いな、とか。

帰りの船から長崎の町並みを見て、「海があって山がある」ってこういうことなのかー、ってすごい納得しました。グラバー邸は船から屋根だけを見て終了(笑)。

下船した後

9時に出航して、1時間ほどかけて軍艦島まで行って、1時間ほど島を見学して、1時間ほどかけて12時ごろに長崎港に戻ってきました。
13:25の特急かもめ26号で博多に向かう予定だったのでそこから大急ぎでチンチン電車で思案橋まで移動して「ツル茶ん」で念願のトルコライスを食べて、長崎駅までドタバタと戻って無事に予定通りのかもめで福岡に行くことができました。

相当な強行スケジュールだったけど、行ってよかったです。

ガイドさんが「台風が来れば島の様子はまた変わってしまうから、今と同じ姿の軍艦島はもう二度と見ることが出来ない」と言っていたのが印象的だったし、もしまた長崎に行く機会があったらまた軍艦島に行ってみたいと思いました。

カテゴリの最新記事